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生命保険契約のうち終身保険や養老保険という貯蓄性のある生命保険契約をする場合重要になるのが「予定利率」という考え方です。予定利率とは、生命保険会社が貯蓄保険料として受け取った部分について責任を持ってこの利率で運用しますよ。という約束です。長期の保険契約には重要な考えですのでしっかりと理解しましょう。
生命保険会社は、保険契約者から預かった保険料のうち「貯蓄保険料」の部分は運用にまわしています。よく投資の世界で「機関投資家」という大規模な投資を行う投資家を指す言葉が用いられますが、参考ページを見ていただけば分かるとおり、機関投資家の中に生命保険会社が立派に記されています。
つまり、生命保険会社は私たち契約者が払った保険料を運用して増やしているのです。この際、この運用に保険会社が責任を持って契約者に還元しますよ、と約束するのが「予定利率」です。生命保険会社は仮に運用に失敗してしまった場合でも、この予定利率については必ず預金者に支払います。
バブル崩壊後に生命保険会社が苦境に陥ったのはバブル期の予定利率が高い保険契約が多数あったためです。バブル崩壊後保険会社はこのような高い予定利率よりも低い運用しかできなかったため「逆ザヤ」に陥り経営が悪化したのです。
一方で、保険加入者から見ればこの時期に契約した生命保険は予定利率の高い「お宝保険」となります。
予定利率は実は保険会社ごとに異なります。また、同じ保険会社でも保険契約をする時期によって指定している予定利率が異なっています。例えば1990年代前半の生命保険会社の予定利率は概ね5%前後とされていました。それがバブル崩壊を経て今では1%を下回るものまであります。
「養老保険」「終身保険」「学資保険」「個人年金」といったように運用性がある保険に関しては予定利率が高い保険ほど有利になります。
一方で運用性の小さい「定期保険(掛け捨て保険)」のような保険については予定利率はほとんど影響しません。
生命保険の予定利率という考え方は
仕組み的には「割引債(外部)」という債券の考え方と同じです。
予定利率は、預かった保険料を運用に使う代わりに、保険料を割り引くという形をとっています。つまり、仮に予定利率が2%という場合、本来100必要な保険料を98円に割引して支払っている形になるわけです。
予定利率1.5%という養老保険があるとします。この保険の利率はかなり高いように感じるかもしれません。執筆時点の預金金利は0.1%とかいう超低水準です。
これと比較して1.5%という金利はかなり高く感じますよね。
たとえば、10年の養老保険(満期1000万円)という保険に加入した場合、予定利率1.5%とします。この場合、予定利率が割り引かれて、実際に必要な保険料の支払いが920万円(一時払い)とします。差額の80万円が予定利率によって割引された金額となるわけです・
ちょっと計算してみましょう。要するに920万円が1000万円になるということです。差額は80万円。これを10年間で受け取るわけですから年あたり8万円です。
一時払いとして920万円を投資しているわけですから、単純な利回りは8÷920=0.8695%になります。
おいおい、1.5%じゃないやんけ!と思われるでしょうが、これで正しいのです。
生命保険の保険料は「死亡保険料」「貯蓄保険料」「付加保険料」の三つに分けられると説明しました。
死亡保険料・・・死亡時の保険金支払いのための保険料
貯蓄保険料・・・満期保険金や将来の死亡保障のための保険料
付加保険料・・・保険会社の収益
このうち、予定利率が適用されるのは「貯蓄保険料」にあたる部分だけなのです。
(正確には貯蓄保険料の積立額。)
上記のような養老保険がある場合、一時払いした保険料のうち貯蓄保険料に該当するのは約533万円となり、この533万円が1.5%の予定利率で運用されることになっているわけです。
保障部分を除いて他の投資商品や預金などと運用という意味で比較する場合は、0.8695%で比較してあげる必要があるわけです。
また、こうした予定利率の問題はもう一つあります。
それは「単利運用」にすぎず、「複利運用」にならないということです。
複利と単利については「複利の力を活用(資産運用と複利効果)」のサイトで詳しく説明されているので、ご一読ください。
先ほどの計算式では533万円に対して毎年8万円の予定利率による収益があると計算することができました。しかし、この8万円は毎年受け取れるわけではなく、10年という満期時のみ受け取ることができるわけです。
たとえば、債券(割引債は除く)や投資信託などで運用した場合、運用による収益金は毎年入ってきます。この入ってきた金利などの収益金は別の形で再運用をすることができるわけです。そのため、単純に表面上の金利だけで比較することはできないのです。
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